山梨肺癌研究会会誌 第19巻1号 002-005(2006)
肺動脈血栓塞栓症を契機に発見された肺癌の1例
石本忠雄 緒方孝治
要旨:症例は80歳女性。感冒様症状から呼吸困難に至り、当院内科入院となった。肺動脈血栓塞栓症(PTE)を疑い胸部造影CTを施行したところ、PET所見と左肺S6の径15mm大の腫瘤影を認めた。下肢静脈エコー上、右膝窩静脈に血栓を確認。緊急に右心カテーテル検査、肺動脈造影検査を施行。右心系および肺動脈血圧の上昇と、PETを示す肺動脈内多発散在性陰影欠損像を確認した。下大静脈フィルター留置を迫力貼保存的治療により症状は改善し、肺動脈内と下肢静脈内の血栓は消失。約2ケ月後、肺腫瘍(原発性肺癌疑い、cTINOMO、StageIA)に対して胸腔鏡補助下左肺S6部分切除術を行った。病理診断はpapillary adenocarcinoma partially with bronchioalveolar patternであったが、根治的切除は追加せず、外来にて抗凝固療法とUFT内服を続けた。術後5ケ月よりCEA上昇、術後8ケ月、多発性腎転移確認、術後1年で癌性髄膜炎を発症し、現在治療中である。
キーワード:肺動脈血栓塞栓症、深部静脈血栓症、肺癌
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